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関節リウマチ

関節リウマチは治る病気です。
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2012年7月にリウマチ専門クリニックとして診療を開始してから、ほぼ10年が経ちました。開院当初、ホームページにて早期診断と早期治療開始により関節破壊は防げることを説明してきましたが、実際にこの10年間(2012年から2021年)で関節リウマチが発症し当院で早期診断できた患者様の中で人工関節手術が必要となった方は一人もいません。

一方で関節リウマチは痛みや運動制限が無くなる寛解状態を維持するためには、薬による治療の継続が必要です。直近10年間でもリウマチ治療薬の進歩は続いています。現時点(2021年12月)での治療薬についてまとめてみたいと思います。

1.従来型抗リウマチ薬(略称csDMARDs)内服薬

メソトレキサート(MTX)は1999年に認可されてから今でもリウマチ治療の基本となる内服薬です。通常は第一選択薬となりMTXのみで寛解導入できる患者様も多くいます。女性の場合MTX内服中は妊娠を避けていただく必要がありますので、MTX開始時には妊娠の希望について確認しています。MTX継続中に妊娠希望へ変更する場合には、MTXを中止して一度生理が過ぎた後から妊娠が可能となります。また高齢で腎機能が低下している患者様には注意が必要で、途中から他の薬剤に変更したり、後述の生物学的製剤(バイオ製剤)に移行することもあります。

タクロリムスはリウマチ治療薬として認可される以前から、腎移植後の免疫抑制剤として使用されてきた歴史があります。女性が内服しながら妊娠しても安全と考えられている薬の一つです。

MTXやタクロリムスは免疫抑制剤ですが、ブシラミン(リマチル)、サラゾスルファピリジン(アザルフェジン)、イグラチモド(ケアラム)は免疫調整剤と言われています。関節炎や免疫異常が比較的軽度のリウマチ患者様に使います。免疫調整剤で寛解導入される場合もありますが、原則3ヶ月以上効果の無い場合は免疫抑制剤に移行することが勧められます。 これらの低分子リウマチ薬はすべて内服後には肝臓で分解され腸と腎臓から排泄される薬です。肝臓病や腎臓病を合併している患者様は検査結果を注意しながら使用します。

2.生物学的製剤(略称bDMARDs)皮下注射あるいは点滴

リウマチ治療における生物学的製剤(バイオ製剤)の歴史は2002年に始まりました。一覧表を下に提示しておきます。同一成分である後続品(バイオシミラー)は先発品の約60%の薬価ですので患者様の負担も一部で軽くなりましたが依然高価な薬剤であることに変わりありません。当初は副作用について心配する声もありましたが、既に20年近く経過した薬剤もあり、特定の分子を抑制するピンポイント攻撃なのでその副作用の特徴や予防方法がはっきりして来ました。

リウマチ治療における生物学的製剤の一覧表
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バイオ製剤は分子量の大きなタンパク質なので経口摂取することはできません。静脈か皮下の血管内に直接注射する必要があります。働きを終えたバイオ製剤は肝臓や腎臓などの特定の臓器に頼ることなく、全身に存在する免疫担当細胞(網内系)により異物として自然に分解され消失します。腎臓の機能が弱い患者様でも比較的安全に使用できるので、バイオ製剤だけで寛解状態を維持している高齢のリウマチ患者さんもいます。また妊娠期間中にも使用できるバイオ製剤もあります。

3.標的型抗リウマチ薬(略称tsDMARDs)内服薬

バイオ製剤に匹敵する効果がある低分子リウマチ薬(経口剤)として2013年に認可されました。こちらも一覧表を下に提示します。バイオ製剤のような注射ではなく内服薬です。免疫細胞内にあるヤヌスキナーゼという複数の酵素(JAK1、JAK2、JAK3、TYK2)を抑制するためJAK阻害薬と言われています。バイオ製剤は免疫細胞が産生した特定のタンパク質のみを抑制するピンポイント攻撃であるのに対して、こちらのJAK阻害薬はタンパク質を産生する免疫細胞の機能自体を抑制します。最終的に肝臓で分解され腸、あるいは腎臓から排泄されるため、腎排泄率が高い薬剤は腎臓に障害のある方には注意が必要です。

標的型抗リウマチ薬(略称tsDMARDs)内服薬の一覧表
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治療効果はバイオ製剤に遜色ないのですが、薬価が認可当初のバイオ製剤と同じ設定なので高価です。2021年9月に米国FDAから血栓症や心血管障害,悪性腫瘍など作用機序がはっきりしない副作用に関する警告があったため、当院ではバイオ製剤で寛解状態が達成できないリウマチ患者様に限定して使用しています。妊娠希望のあるリウマチ患者様はJAK阻害剤を使うことができません。

4.関節リウマチ診療の学会ガイドライン

日本リウマチ学会では関節リウマチの標準的な治療を示すガイドラインを提唱しています。米国や欧州リウマチ学会のガイドラインにほぼ準じた内容になっています。以下にフローチャートを提示します。 ガイドラインとはリウマチ患者様が標準的な治療を全国どこででも受けることができるように作成された道標のようなものです。しかし実際にはリウマチ以外の合併症などにより、ガイドライン通りの治療方針が適応できない場合もあります。また患者様それぞれの通院事情など社会的背景も治療方針の決定には重要な要素になります。

関節リウマチ診療の学会ガイドライン
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  • *1 原則6ヶ月以内に治療目標(臨床的寛解or低疾患活動性)が達成できない場合には、次のフェーズに進む。治療開始後3ヶ月で改善がみられなければ治療を見直し、抗CCP抗体が高力価陽性や早期からの骨びらんを有する症例は関節破壊が進みやすいため、より積極的な治療を考慮する。
  • *2 禁忌事項のほかに、年齢、腎機能、肺合併症を考慮して決定する。
  • *3 MTX以外の抗リウマチ薬を指す。
  • *4 長期安全性、医療経済の観点から生物学的製剤を優先する。
  • *5 TNF阻害剤が効果不十分な場合は、非TNF阻害剤への切り替えを優先する。
  • *6 疾患活動性が低下しても骨びらんの進行がある患者、特に抗CCP抗体陽性患者で使用を考慮する。
  • *7 疼痛緩和目的に必要最小限で短期間が望ましい。
  • *8 早期かつcsDMARD使用患者に必要最小限を投与し、可能な限り短期間(数ヶ月以内)で漸減中止する。再燃時等で使用する場合も同様である。

5.今後の新しいリウマチ治療について

当院では引き続き新規リウマチ治療薬の治験を継続しています。最近は既に認可され通常使用されている生物学的製剤のバイオシミラー(BSバイオ後続品)と言われる同一成分の新規薬も増えてきました。治験についてはホームページ上で詳細は語れませんので、関心のある方は来院受診時に質問してください。治験の参加には過去の治療歴など様々な条件や基準があり、当院で通院治療中のリウマチ患者さん以外は当院の治験に参加することはできませんのでご了承ください。

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